社長・坂本毅の『バンベン日記』


 

2019,06,18, Tuesday 05:21 PM


教室外での生徒との交流はたくさんあった。これは部屋が1年目は校舎、2年目からも生徒の宿舎の近くだったということもあるし、同じような条件で生活をしているので、一体感が沸いてくるのかもしれない。食堂もトイレも同じ、同じように水を汲みに行くし、同じように洗面器で洗濯をしていた。

でも、本当にいろいろなことを語り合ったり、深い付き合いができていたのはごく少数だった。基本は日々の授業。あとは僕の部屋で日本語とモンゴル語で話し合ったり、外でバトミントンやサッカーをしたり、ほとんどの生徒とは「淡い交流」が続いた。

そんな生徒たちの交流の中でも、毎年楽しみにしていたのが、大晦日のドンチャン騒ぎ。寮生がほとんどのモンゴル族中学の生徒は普段、朝晩は自習だの、夜10時消灯だの、厳しい校則で縛られている。しかし12月31日の大晦日だけは、夜中まで教室で自由に、歌ったり踊ったりできる。

2年目の大晦日。その日は昼休みに風船やカラーテープなどで教室を飾り付けて、ムードを盛り上げる。午前中に51組の生徒の一人が「夕方6時から、街のレストランを借りて、クラス会をしますから来てください。」と言ってきた。担任の先生は参加しないということだった。是非とも参加したかったが、その夜は学校側がボクのために宴会を用意している。生徒にそのことを話すととても残念そうにしていたが「じゃあ夜10時から教室で、ダンスパーティーをやるので、そのときは来てくれますね。」と言って去っていった。

学校側の宴会は6時半から。この頃にはもう60度のバイチュウも結構飲めるようになっていたし、オルドスの宴会そのものを楽しめるようになっていた。楽しむコツは「こちらから仕掛ける」こと。いつも受身だと一方的に飲まされるし、それ以外のときはモンゴル語の世界になってしまう。

それを打破すべく、モンゴル語もある程度覚えて時々使ってみては注意をこちらに向けさせた。そしてここぞというタイミングでオルドス民謡を歌った。これは大いに受けた。一度盛り上げてしまえば後は適当に手を抜いても大丈夫。宴席にいる一人一人に歌を歌って飲ませる場面でも、歌う歌がなくなったら何でもいい。最後は「象さん」や「ブンブンブン」などの童謡を歌いまくり、どんどん飲ませまくった。

羊も大好きになっていた。特に塩で茹でただけの「ショウパーヤンロウ」は、羊そのものの味がするので大好きだった。まず、骨付きの肉を手で掴みかぶりつく。骨にこびり付いた肉はモンゴルナイフで削って食べる。きれいになった骨をかち割って、中の骨髄を吸う。これがまたうまい。

だから、このオルドス式宴会はこれはこれで楽しかったのだが、どうも物足りない。ちょうど10時ごろ宴会が終わった。程よく酔ったまま、51組の教室にいってみると、レストランでのクラス会が終わって、生徒たちが続々と教室に入ってくるところだった。みんな真っ赤な顔をしている。大晦日だけは酒も黙認のようだ。

みんな出来上がった状態で、ダンスパーティーになだれ込んだ。ここでダンスと言えば社交ダンス。1年目のときはこっちが誘っても、羊のように逃げ回っていた女子生徒たちも、今回は快く応じてくれる。1年間の進歩か、酒の力か。間に日本の歌やモンゴルの歌も交える。オルドスバイチュウが瓶ごと口のみで回ってくる。

時計の針は12時に近づいていた。期せずして日本語によるカウントダウン。「ゴー、ヨン、サン、ニー、イチ、ゼロ!」「センセイ、明けましておめでとうございました!」「んっ?」ずっと日本人と話していないとこういう日本語もありかな、と思えてしまう。

教室中が熱気に包まれた頃に停電。学校側が、そろそろ引き上げるようにと電源を切ったのだろう。そんなことわかっていたが、もう止まらない。すかさずローソクを取り出して、火をつけて教室中に何本も立てた。中心のローソクをキャンプファイヤー代わりに、輪になってぐるぐる踊った。

そして最高潮に達した2時過ぎに今度は中止命令。さすがにボクは教師としてこれ以上粘るわけには行かなかった。「じゃーみなさん、これで終わりましょう!」と大声で叫んでも、酒の入った怖いものなしの生徒たちはなかなか引き上げる気配なし。

それならと何人かと一緒に「北国の春」を歌いだした。すぐに全員が一緒になって歌った。真夜中の教室で日本の歌の大合唱。といっても歌詞を覚えている生徒は少なく、みんなただウォーウォーと吠えるように歌った。最後だけはしっかり覚えている。「あの故郷に帰ろかな、帰ろかな~。」1番を3回歌って締めた。

「じゃ、みんな、帰ろうか。」「帰ろ、帰ろ」生徒たちはぞろぞろと教室を後にした。

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