社長・坂本毅の『バンベン日記』


 

 
2019,06,05, Wednesday 05:30 PM


6月27日。その学期の最後の授業の日。生徒たちに成績表を渡した。

何度も言うが日本語は正式な科目ではない。学校の成績表の中にすら記入してもらえない。そこで1年間、ボクの授業に付き合ってくれた生徒たちに、自作の日本語だけの成績表を渡すことにした。

まず、あらかじめ日本にいる親に頼んで100枚ほど富士山の絵はがきを送ってもらった。画用紙を小さく切って作ったシートに今まで行った3回のテストの点数と授業での平常点を加味した10段階の総合成績をゴム印で押し、空いたスペースに150字くらいのコメントをつけた。

10段階の評価は独断で付けたがほとんどが6以上になっていた。そしてできた成績表を、親から送ってもらった富士山の絵はがきに張り付けた。

とっても簡単なものだったが、100人も生徒がいるので、大変な作業だ。誰にどの絵はがきを渡すかとか、一人一人にどんなコメントをつけるかなど、結構迷ったが、じっくり時間をかけて作成した。作業中に生徒一人一人の顔やさまざまな授業の場面が浮かんできた。あらためて一年間という時間の重さを感じた。

実際に生徒に渡してみると、まず富士山のきれいな絵葉書にみんな大喜び。成績表のコメントの意味が分からないといった顔をしているので、「ここにはまったく普通の日本語でコメントを書いたので、今はあまり意味が分からないと思う。でもこれから1年2年と日本語を勉強すればきっと分かるようになる。」と言ったら納得した様子だった。

それから1年間の自分の感想などを話した。最初の授業で不安の中、「あいうえお」を教えたこと。日本の歌を紹介するまでのいきさつ。テストの前に不安になることなど、けっこう赤裸々に自分の一年間をたどたどしい中国語で語った。生徒たちはうなずきもせずにじっとこちらを見つめていた。

時間があったので最後に「北国の春」を聞かせた。これは最初に教えた日本の歌。いつもならみんな曲に合わせて歌いだすのに、このときは様子が違っていた。みんな分けのわからない日本語の成績表をじっと見ながら、つぶやくようにかすかな声で歌っている。

教室中が不思議な雰囲気に包まれた。そのうち涙ぐむ女の子も出てきて、感動的なシーンとなった。
今でも、あの雰囲気、あの涙はなんだったんだろう。とふと思い出すことがある、とにかく小さな町の素朴な生徒たちに「日本語を教えるながらふれあう」という意義を見出したような気がした。

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